YOKO NARITA'S HOLLYWOOD

ハリウッドのスターをインタヴユーして37年!!     ツーショットと来たらどっさり ざくざく。最近は映画の記事も減ってきて発表してないお宝が貯まる一方。貯金は減る一方ですが、ともかく つたないブロッグ で全く為にならないお話と とっておきの古い写真とか新しいものも載せていきたいと思ってます。
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Monday, February 1, 2016

ANGELINA JOLIE PITT

ANGELINA  JOLIE  PITT


晴れてブラッド ピットと結婚してから、アンジェリーナ ジョリー ピットと苗字を加えるという愛らしい姿勢を見せたアンジーの監督第2作「アンブロークン・不屈の男」が 
2月6日にやっとこさ公開されることになりました。
アメリカではすでに2014年秋に公開された、そこそこの評判を呼びましたが、賞候補などになるレベルではありませんでした。ただアンジーの絶えざる努力に拍手を送るばかりです。
つい最近の「バイ ザ シー」での会見で
「やっと日本公開が決まりましたね。良かったですね」
と言うと、あのたおやかな顔をくしゃくしゃにしての笑顔を浮かべて、
「本当に嬉しいし、誇りに思っています。ついては是非是非映画を見た方たちのご感想なり、ご意見なり、ご批判を聞きたいので、教えて下さい。絶対に教えてね! お願いします」
と妙に改まってのリクエストをしてきました。
何と言っても「ジア・裸のスーパーモデル」(98)の時から主演作、監督作ごとにあって、その間、ワイルドな反抗ギャルから、おしとやかな美人女優、逞しい母にして、挑戦を重ねる監督、と普通の人の100倍以上の変身と上昇を目の当たりにしてきたジョリーのたっての頼みです。

彼女も今年の6月4日に41歳!
実はすでに「アングロークン・不屈の男」についての原稿を書いてます。
昨年のキネマ旬報 戦後70年特集号に寄せたその原稿をちょっと長いですが、ここに載せます。
読んで頂けると幸いです。
10枚のツーショットが見つかりましたが、少なくとも、 20枚はある筈、ともかく彼女の成長が見て取れると思います。


1998「ギア・裸のスーパーモデル」の時。




2014「アンブローケン」の話を交わしています。
20155年末の最も最近のツーショット



アンジェリーナ ジョリー「アンブロークン」
成田陽子

2014年7月29日(ロスエンジェルス)と12月4日(ニユーヨーク)の2回に渡って、それぞれみっちり1時間の密な会見をしてアンジェリーナ ジョリーは真剣に、熱心に、雄弁に、誇らしく自らが監督した「アンブローケン」について語ってくれた。

「イタリア移民の乱暴な息子、ルイス ザンペリーニが陸上選手としてベルリン五輪に出場し、第2次大戦では搭乗機が墜落,太平洋を47日間漂流し,日本軍の捕虜となって、拷問の様な惨い仕打ちを受けながらも,個人的な恨みなどを持たずに日本を訪れては友好に努め、札幌五輪でトーチランナーとして走ったと言う話は、反戦は言うまでもなく、タイトルが示すように「不屈の精神」を描いたもの。ブラッド(ピット)にこの話を監督したいと話したら、とんでもない!と言うのが彼の最初の反応だったのよ(笑い)実はハリウッドではこの企画は既に50年間近くスタジオの棚に眠っていて、大勢の監督が食指を動かしたものの、余りにスケールが大きく、今まで誰も実現出来なかったという内情を教えてくれたの。でも原作を読んでますます感動し、偶然にも家の近くに住んでいたルイスを知り、私の原始的な挑戦心がむずむずしてきたのです。
公平に歴史を見る視野とルイスの実体験を私は見せたいと思いました。彼の受けた虐待の記憶もさることながら、日本人に助けられ、守られた思い出,爆撃下の東京の人々に対する深い同情、若き兵士として同国民,ひいては世界の人々の生活を改善する為に戦線に往ったと言う義務感,そう言う誇りが一握りの憎悪を解消する、それがこの映画の重要なメッセージと信じています。

ヒットラーのオリンピック会場の再現、1920年当時のカリフォルニア、爆撃下のトーキョー、戦闘機の墜落、サメの襲撃、などなど映画5本分ぐらいの大仕掛けなセットを組む事だけでも圧倒されたけれど、挑戦に立ち向かわねば何の価値があると鞭打って頑張りました。1日おきにめげそうになるぐらい、今までのクリエイテイヴな仕事の中で最も辛いものだったけれど。予算に限りがあるのでこれだけのセットを組めるのはオーストラリアしかないと意見が合致して,いざオーストラリアに行くとインドアのタンク、アウトドアのタンク、巨大な石切り場など利用出来そうな場所が全てあって,おまけに現場のクルーがかいがいしく、200人の常勤エキストラは昔参戦した祖父達の写真など持参して非常に情のこもった現場となって意気が高まったのも良い思い出です。

私にとってこの映画作りは非常に重い、感情的なプロセスでしたが、撮影中、ルイス本人と接触を交わして彼からの大きな励ましが助けとなり、彼を演じたジャック (オコネル)もルイスとすっかり親しくなって彼を師と仰いでいた程でした。撮影が終了し、入院しているルイスのところにラフカットをラップトップに入れて見せに行ったら、97歳で既に生命が止まりかけていた状態にも関わらず自分の若い頃のレースを見て興奮し、大いに喜んでくれました。みんなで葬式に出て大泣きし、編集作業中にもしばしば泣いてしまったけれど、悲しくて泣くのではなく、ルイスの偉大な人生を偲び、もうルイスのような人には会えないと言う事実が耐え難かったからだと思います。

偶然にルイスが私たちの家の近所に住んでいて、私がスタジオに激しくピッチして企画を売り込んでいる間、ずっと連絡を取り合い、私がうちの屋根に上って丘の上に住むルイスに手を振っての挨拶が習慣になったり、私が運んだ朝食を一緒にとったりしていました。わしの目が黒いうちにぜひ完成して欲しいと言われて私は懸命に自分の手で映画の内容を見せるためのストーリーボードや地図を作って準備しては何ヶ月もスタジオとの交渉を進めて、予算の都合から主演俳優に人気のある俳優をと言われた時も自分が選んだ俳優を起用すると踏ん張って、グリーンライト(オーケーサイン)が出た暁には私が屋根から旗を振ると約束していました。そしてやっとグリーンライトをもらった時、ちょうど自宅に居たブラッドに連絡して屋根に上がって米国旗を振ってと頼んで、ついにルイスにグッドニュースを知らせる事が出来たのです。

私は日本が大好きで日本に行く度にますます好きになり、日本人を心から尊敬しています。私にはアジア人の子供達も居ますし、だからこそ、ルイスが敵としての日本を許したばかりでなく,日本を訪れ、日本人を愛するようにになったという心の広さに心を打たれのです。だからこそ日本軍のワタナベの配役には主役以上に気を使い、ミヤヴィの舞台を見て彼の只らなぬ美しさ、存在感と体の動きにまず感心し、実際に会って、彼の品格と良心を確認しました。ワタナベはバードと呼ばれるように、美しいモンスターで、教育もあり、目を見張るような,独特の雰囲気の持ち主だったと原作にあります。ブロークン イングリッシュを喋る、無知で安っぽい日本人が出て来るような映画には絶対にしたくなかったので、ミヤヴィの持つ静かなパワーにこれだ!と感じたのです。攻撃的な人間を全く攻撃的でないタイプが演じる効果も期待しました。ミヤヴィ自身は棒で叩いたり、殴ったりする暴力的な行為が嫌で嫌で、それがスクリーンの上でワタナベのどうしても叩かずにはいられないと言う強迫観念と合わさった複雑なキャラクターとだぶって、ユニークな空気が生まれたと思います。合計220回の暴力行為シーンがあったのですが、痛めつける側のミヤヴィと犠牲者のジャックはカメラが止まる度にひしと抱き合ってお互いに慰めあい、その様子が又私たちを励ましたと言えましょう。つまるところ犠牲者は両サイドに居るわけで、戦争が加害者。東京を爆撃するシーンでもどちらが正義で、どちらが悪いと言った判断を決して見せないようにしました。人々は痛めつけられ、どちら側に居ても犠牲者なのだと言う事実を描きたかったのです。ルイスの日本への愛が映画を通して理解できると期待しています。
日本の配給会社は決まっていますが公開の日にちはまだ分かりません。日本人にとって、この戦争のこの時期を再訪するのは苦しいと言う事は百も承知しています。日本の人々が劇場に走って行って見ようとするとは思えませんが、映画を見たらルイスの愛の美しさがよく分かってもらえると信じています。
この実話が余りに心に訴えるので私は自分の子供達の為にも是非作りたいと思い、実際に上の子供達に見せたところ,思ったよりずっと感動してました。子供ながらに戦争の痛みを分かってくれたようです。

監督の手本は何と言っても大好きなシドニー ルメットで、この映画を作る前に彼の「丘」(65)を参考にしたいとクルーに告げました。クリーンなショット,観客に全てを明白に見せる画面を私も取り入れたつもりです。マイケル ウインターボトムのスペースの取り方,ロバート デニーロの緻密な準備、クリント(イーストウッド)の決断なども参考にしてますが、正直なところ,ひどい監督との経験が一番役に立っています。絶対に彼らのようには振る舞わないととね」

さて「アンブロークン」を見た後のわたくしめの感想でありますが、サデイステイックな収容所の兵隊など多くの戦争映画に出ていますから、ミヤヴィ扮するバード(ワタナベ)の行動の描写になどに、ショックも嫌悪も感じませんでしたし,日本軍を故意に歪めて描いたシーンなどもありません。強いて言えばアンジェリーナはまだまだ切れ味の鋭い戦争ものを描くイヴィッド リーン監督(「アラビアのローレンス」(62))ではなく、主人公のルイスにかなり個人的に入れ込んでいる為にセンチなところがあって、もやもやした感じが漂っているのが残念でした。戦闘機の内部や五輪会場、漂流などの見せ場の場面は思いがけない程,リアルで,パワフルですが。彼女が期待していた配給会社がどうなったのか知りませんが,日本人も充分に楽しめる映画だと確信してます。





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