RALPH FIENNES

RALPH   FIENNES

2014年最後のページを飾るスターに、「グランド ブタペスト ホテル」の支配人,ミスター グスタフを可愛らしく,ユーモラスに演じたレイフ ファインズを選びました。
英国俳優嗜好のわたくしですが,中でももっとも好きなスターのひとり,「シンドラーのリスト」(93)がもう21年前とは信じ難い,相変わらず少年の潔癖さと詩的なエレガンスを湛える,格調の高い名優です。

何度も書きますが,彼の家族はアイルランド系でラルフとは呼ばず,レイフと郷土の名前の発音で呼ぶのです。

1962年12月22日英国はサフォーク生まれですから、52歳になったばかり。レイフの経歴は見事なまでにストレートな名優の道で、王立演劇アカデミー卒業後,ロイヤル シェイクスピア カンパニーで「ハムレット」など数多くの歴史に残る名演を見せて,その崇高な美男子ぶりはロンドンの話題の中心だったとか。名画「アラビアのローレンス」(62)のピーター オトウールの熱血ドラマの続編として作られたテレビ映画の「ロレンス」(90)でスクリーンでも優雅なプロフィールを見せて注目され, 映画初出演は「嵐が丘」の主人公ヒースクリフと演じる役はロマンテイックな悲劇の美男子が続きます。
そして「シンドラーのリスト」のナチの将校役を体重を増やして,嫌味と悪人の雰囲気を盛り上げ、見事にアカデミー賞助演賞候補に。

「クイズ ショウ」(94)は監督を手がけたロバート レッドフォードが全米中の名だたる俳優を探しても,生まれの良いハンサムな青年の顔が見つからず,結局 英国のレイフに白羽の矢となったいきさつは有名です。古き良き時代の毛並みの良い男性をアメリカのアクセントでちゃんとものにしていました。
「シンドラー」のインタヴューで会って以来,何10回と会って来ましたが, いつも繊細さを失わず、控え目で,良く通る静かな声の会話は彼の洗練されたアクセントも加わって,うっとりする程,素敵でセクシーです。
最近のポッシュ(ハイソ風)な英国映画俳優たち,ベネデイクト カンバーバッチ,エデイー レッドメイン,トム ヒドルストンたちは育ちの良さとエリート校で培った瀟洒なスタイルを持ってますが,レイフは貧乏な芸術一家の育ちで,その辺りの憂いに満ちた寂しさが彼のルックスと才能にプラスアルファを加えています。

何と言っても「イングリッシュ ペイシェント」(96)と「ことの終わり」(99)の頃のレイフが最高に美しく,気品と脆さがいぶし銀のようのような光を放っています。

最近の「007」シリーズでは,大好きなジュデイー デンチに代わって,レイフがボンドのボスになり、ちょっとコミカルな味付けが愉快ですし,「ハリポタ」シリーズの鼻無し蛇男の不気味さは爽快でした。
「グランド ブタペスト ホテル」は既にゴールデングローブ賞喜劇部門で映画賞,主演男優賞など4個の候補になってます。わたくしの館ではレイフが受賞する筈,いや当確と言いましょう。
2014年に2本公開されたテレビシリーズのスパイもの「ジョニー ウオリッカー」(ビル ナーイ)では英国の首相役を楽しそうに演じていますし,来年は「ア ビッガー スプラッシュ」と言う映画でテイルダ スウイントンとマシアス ショーナーツ(前に紹介した御贔屓のベルギーの俳優)などと共演します。
近頃髪がめっきり薄くなって来ましたが,それを全く気にせず,妙なトリックなど使わないで、坊主頭になったりします。それでも間違ってもヤクザなどには見えないのは、レイフの優雅な人となりと自然体を重んじる自信と気概の現れでしょう。何と言っても永遠にエレガンスの象徴のプリンスなのですから。 t
2014「グランド ブタペスト ホテル」のミスター グスタフ


1994「クイズ ショウ」右端

1996「イングリッシュ ペイシャント」クリステイン スコット トーマスと





1999

2014



2013

1993


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