JUNE SQUIBB

JUNE     SQUIBB


世界中の街角で見かける小太りで,優しそうなおばさんです。ほとんど誰も彼女の名前を知らないでしょう。
ジューン スクイッブ,6月生まれでもないのにジューンと言う1929年11月6日 イリノイ州 ヴァンダリア生まれ,今日が84歳のお誕生日のベテラン女優です。
「若い時から,いいえ,小さい時から私はサポーテイング アクトレス(主役を支える女優)だったのね。いつも母の威力を光らせ,友達の引き立て役をし、女優になってからも、一度も主演とか考えた事も無い。別に意固地になっているわけではないのよ。人間にはスター性のある人と脇を固めるタイプがいて,私は喜んで脇役を手がけているのです」

「アバウト シュミッド」(02)でジャック ニコルソンの妻を演じ,今回は「ネブラスカ」(13)でブルース ダーンの妻役。そうです,場面を占領してしまうパワースターたちの横で、とことんリアルな妻を演じてしまうので,わたくしたちの目に入らないのです。

しかし今回の役は,かなりよたって来た夫のブルース ダーンを叱咤激励し,罵詈雑言の言葉遣いで,ありとあらゆる親戚や昔の求婚者たちをののしるのですが,それが嫌味よりも,達観した老妻の居住まいを頼もしく見せてます。

「私はかなり変わった子供で,ピアニストだった母が私にピアノを教えようとするのがいやで嫌で,結局近所の他のピアノの先生に行かされたのだけど,この先生が
「ジューンを教える位なら,猫にピアノを教える方がまし」と言う始末。頑固な母は又私に教えようと躍起になって,あるとき母が席を外して帰って来たら,私が足でピアノを弾いているのを見つけて,それで母もあきらめたと言う程。
この母御は,ジョイベル フォース スクイッブと言って1920年代サイレント映画でピアノを弾いていたと言う映画史のひとコマが彼女の家族にありるのでした。おまけにゴルフの腕も上等,70歳になって,老人ピアのコンテストで2年連続優賞したと言うツワモノだったよう。

ジューンの夫君は,チャールズ カタタキスと言って演技コーチで名前が示すようにギリシャ移民の息子でした。

お転婆だったジューンは,舞台女優を目指し,1958年ブロードウェイの舞台にデビュー,60年にはエセル マーマン主演の「ジプシー」でストリッパー,エレクトラの役を演じたそう。

映画デビューはウッデイー アレンの「アリス」(90)でのヒルダ役,次々に母親なり祖母役を楽しそうに演じています。
「初めてブラッド ピットに会ったとき,スクリーンで見るよりずっとハンサムで背が高いのにびっくり!優しくて,気が利いて,私でさえもうっとりしてしまった程」
と言う想い出は
「ジョー ブラックをよろしく」(02)から。

ジャック ニコルソンとブルース ダーンとの寝心地の違いは?
(どちらの映画でも夫婦として一緒にベッドで寝ているシーンがあります)
と聞くと、
「おやまあ!」
と言って顔を赤らめたのでした。ハリウッドでは稀に見る84歳のウブなかわい良いジューンを見てしまいました。
「ジャックは大変なおしゃべり。ブルースは実際はよくしゃべるのだけれど,役のためにむっつりを決め込んでましたね。ふたりとも大変な才能の持ち主ですから,私は邪魔にならないように,しっかり眠っているふりをしてました」

「気がつかないうちにおばあさんの役がたくさん来て,それがとっても嬉しいですね。妖精も童女も姫君も必ず老女になるのですから」


「ネブラスカ」の妻役
ほほほほ!と朗らかに笑う,天真爛漫な陽気を運んでくれるジューンの健康で,末永いキャリアを祈って乾杯です。
2013 「ネブラスカ」

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