PATRICIA CLARKSON

PATRICIA   CLARKSON


古き良き時代の家庭の主婦,それも秘密を持った魅惑的な存在がパトリシア クラークソンが醸しだすイメージです。
整った顔立ちに,理想的な体型,長くて波打った金髪のすべてが50年代の雰囲気で,おまけにウイスキー ボイスと呼ばれる暗がりの中で囁くようなかすれたセクシーな声。

かなり前のゴールデン グローブ賞の後のパーテイーで,父上と一緒に出席していた時,かなりの業界人に囲まれて,美しく,艶やかに,自分の魅力を充分に察して,おしゃべりをしていました。
「私ってどうしてもシアトリカルになってしまうの。小さい時からスターの物まねをして,スポットライトが当たっている気分に浸って,演技をしているのふりをするのが大好きだったのですよ。自然に振る舞えと言われてもこれがもう当たり前なの」
と柔らかそうな髪をかきあげながら,婉然と笑う姿はまるで「サンセット大通り」のグローリア スワンソンのようでした。
傍らで楽しそうに娘のスターぶりを眺めている父上は、
「パトリシアは生まれながらの女優だと思わずにはいられないね。母親の血を引いたのでしょう。僕のワイフは政治家ですからね」
と誇らしげに告げてくれました。

1959年12月29日 ルイジアナ州のニユーオーリンズに5人姉妹の末娘として生まれたパトリシアは、学校の総務に勤める父親と市会議員の母親のもとで,豊かに,和やかに育ち,大学を出てから名門イエール大の演劇科に入学。
舞台出演で好評を得てから,映画のデビューは「アンタッチャブル」(87)でのエリオット ネスの妻の役でした。
翌年にはクリント イーストウッド最後のダーテイー ハリー役の「デッド プール」(88)に彼と絡むテレビのリポーター役で出ています。

初めて会ったのは「グリーン マイル」(99)で刑務所長の重病の妻を演じたとき。40歳になったばかり。屈託がなくて,男性たちとの戯れの会話を楽しむ余裕の美女でした。

「エデンより彼方に」(02)(原題は[FAR FROM HEAVEN])の主役のジュリアン ムーアも彼女の親友に扮したパトリシアもオーソドックスな美女で50年代の衣装がエレガントにしてセクシーでした。この作品でパトリシアはジュリアンの夫がゲイなのは許せても,ジュリアンが黒人と付き合うのは許せないと言う保守的で,差別的な家庭の主婦を冷たく,美しく演じています。


「私はいかにも桂冠詩人とロマンスをしそうに思えるでしょうけど,本当はオートバイ野郎などが好きなの。がさつな中に,繊細なロマンチシズムを見出す時が最高。スピード,セックス,風になびく髪,すべてが感性を刺激すると思わない?」
といささか露悪的なことを言って,相手の反応を楽しむ不良っぽいところも魅力的な独身スターです。
「カイロ タイム 異邦人」(09)をぜひご覧下さい。日本では今年(2013)の10月公開だそう。 今は連日のように破壊されて行くエジプトの首都の永久の風格と伝統がヴィヴィッドに描かれています。そしてエジプトの男性にぐんぐんと魅かれて行く
アメリカ人のビジネスマンの妻をパトリシアは,躊躇しながらも,吸い寄せられて行く姿をひたむきに熱演。洒落た大人のロマンスが展開しますから。

1999  「グリーン マイル」

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