DEREK JACOBI

DEREK    JACOBI


デレック ジャコビに初めて会ったのは「ヘンリー五世」(89)と言うケネス ブラナーが初めて監督を手がけ,脚色,主演も兼ねたシェイクスピア古典劇の映画化に「コーラス」(劇の推進係)の役で出演した時。
名前がまず悪漢みたいで、覚えやすく、あまり大きな体格でもなく,とてつもないハンサムでもなく,普通の男性なのにスクリーンに出て来るとずしりと重量が増すような,破格の名優です。

「私はこよなく舞台を愛しますが,1982年に一度,何度も手がけた役を演じる為にステージに上がった途端,めまいに襲われ,膝から下が萎えてしまい,パニック症状で頭の中が空白になって,その時から数ヶ月、休んでいたことがある。しかしこのままでは永遠に舞台に戻れないと覚悟を決めて復帰した。あの恐怖を克服したと言う勝利が今の僕を支えていると信じている」
「演技は絵画であって,写真ではありません。描くものが演じる役者によって違います。私はエゴを捨て,舞台でひとり輝こうとしたりせず,役の中に自分を埋めていると信じて演技をします」
などとゆっくりと格調の高いアクセントで話していました。


1938年10月22日 英国の東ロンドン郊外にあるレイトンストーンにデパートを経営する父親と秘書の母親の間の一人っ子として生まれ,非常に幸せな子供時代を送ったそう。曾祖父は19世紀にドイツからの移民して来たと言います。6歳の時に図書館の劇団で「王子と乞食」の両方の主役を演じてすっかり一人前の俳優の余裕を見せたと言います。

高校時代の巧みな演技力がケンブリッジ大の奨学金につながり,55年エジンバラで「ハムレット」を演じてプロの俳優に。まもなくデレック主演の「ヘンリー四世」の舞台を観たローレンス オリヴイエがいたく感動して,彼の招きで63年にナシヨナル シアターに移ります。
数々の舞台を踏み,映画デビューは舞台収録版の「オセロ」(66)ですが本格的な役は「ジャッカルの日」(73)でした。BBCテレビの「アイ,クローデイアス」(76)の主役は全英で大評判になったとか。

「リトル ドリット」(87)ではアレック ギネスと共演のチャールズ デイッケンズ原作の映画でした。ここで共演した俳優のリチャード クリフォードと親しくなり,後に英国が同性の結婚を許可した2006年に晴れてセレモニーを上げたそう。
「非常に簡単な手続きで記念にとTシャツをくれました。25人の親しい友人とのセレモニーでした」
と語っています。

「羊たちの沈黙」(91)の主役のオファーを蹴ったそうで,アンソニー ホプキンズに回りましたが,どちらが演じても不気味で恐ろしい役の代表になったに違いありません。

1994年には英国女王から騎士の勲章を授かり,「ハムレット」のデンマークの王子を好演してのご褒美でデンマークの騎士の勲章も受け,歴史史上オリヴィエと並んでたった二人、2国からの騎士の位を受けた俳優となりました。

最近では「英国王のスピーチ」(10)で古いしきたりを重んじる,頑固な英国の大司教役を高尚にも,狡猾に好演しています。

イアン マッケラン(デレックより1歳年下)もカミングアウトして騎士の勲章を受けてますが,今年(13)からテレビ喜劇シリーズ、二人が老ゲイを演じると言う刺激的なアイデアの「VICIOUS」がスタートし,大好評ですと。ぜひ見たいものです。





1989 「ヘンリー五世」

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