TOM WILKINSON

TOM    WILKINSON


昔ウィルキンソンと言う清涼飲料水がありましたっけ。トム
ウイルキンソンは清涼飲料水と言うより,画面に出て来ると他の俳優たちもレベルアップすると言う,登って行く人のお尻を押すような活性剤、つまりブースターのような俳優です。体格から来るだけではない貫禄と余裕,そしてワーカホリックなのか,ローンの支払いに追われているのか,やたらめったらに映画に出てきます。英国映画もアメリカ映画も両方のアクセントをこなして,自然に気楽に,正義の味方の英雄から,疑惑の渦の真っ只中の贈賄政治家,汚職弁護士,と巾が広い事!
と言う訳で,トムの役は最初のシーンではまず良い男か悪漢か分かりかねる,その不明瞭な存在が良いのです。

西部劇の怪力作と言っても良い「ローン レンジャー」(13)にも,権力と金の亡者の役で嬉しそうに出てきては,トントのジョニー デップとローンレンジャーのアーミー ハマーを窮地に陥れ,ローン レンジャーが目を付けている若くて、美しい女性をたぶらかそうとしたり,の悪さをしてます。
1948年12月12日、英国のリーズに農民の父親のもとに生まれ,4歳の時により良い生活を,とカナダに移住するも,ここでも上手くいかず,結局英国に戻り,両親はコーンウオールでパブを始めたそう。

大学から王立演劇校へ。70年代から,舞台に映画にテレビにめまぐるしく出ています。
「フル モンテイー」(97)での6人の労働者が男性ストリップを考案して,舞台に出て絶賛を得ると言う映画は小作品でしたが,ペーソスに溢れて大好評。トムは6人のひとりとして,しっかり舞台で裸になってます。「フル モンテイー」と言う言葉が,ヌードになる事から,何事でも貫くと言う意味でちまたで流行ったのも懐かしい想い出です。

初めてトムに会ったのは「恋に落ちたシェイクスピア」(98)でした。大雑把で,気楽で,ユーモラスな俳優で,どこにでもいるおっさんのような雰囲気を漂わせて,とても取っ付きやすいタイプでした。
「イン ザ ベッドルーム」(01)のシ
2001  「イン ザ ベッドルーム」
シー スペイシックの旦那役でアカデミー助演賞候補に。

それから「フィクサー」(07)のジョージ クルーニーを困らせる悪徳弁護士役でもオスカー候補になってます。

何しろなんでもやってしまう俳優で「ノーマル」(03)と言うテレビ映画ではジェシカ ラングの女装が好きな旦那の役,「ジョン アダムス」と言うテレビ映画ではベンジャミン フランクリンの役,「ケネデイー」(2011)と言うテレビ映画ではケネデイー兄弟の父親,ジョー シニアの役とアメリカの知名人の役は誰もが知っているために,かなりの俳優が敬遠すると言うのに,英国人のトムは嬉々として当時のアメリカ人の悪銭となり,仕草をマスターして演じてしまうのです。
最近では「マリー ゴールド ホテルで会いましょう」(11)のゲイでいる事を必死で隠している隠退者の役が,全くゲイに見えない外見なのを巧みに操作して,本物のゲイらしい役作りを見事に果たしてました。ジュデイー デンチやビル ナイが得々として出て来るシニアの冒険ドラマです。

世界を股にかけて,どんな役でも楽しそうにこなしてしまう。
「役作りは,台本が良ければ全く苦労しない。駄目な台本には色々な苦労がつきものさ。同じように相手役が下手だとコチラは苦労に苦労を重ねなければならない。上手な俳優と組むと何の苦労も無く,あっという間に撮影が終わってしまう」
とのたもうドナルド サザランドと並んで,もっとも忙しいベてラン俳優と言えましょう。

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