LILI TAYLOR

LILI    TAYLOR

その昔リンダ ハントと言う奇怪なルックスの小柄な女優がいました。メル ギブソン主演の「危険な年」(82)で何と男役を演じて,アカデミー賞を受賞したハリウッド史上でも画期的な快挙で,リンダの晴れがましい表情は今でも思い出します。
リリー テイラーもわたくすの中ではリンダと同じように,全く外見を気にせず、ひたすら、というかがむしゃらに演技への情熱を追いかけている一種の職人タイプ。
もちろんルックスはリンダより遥かに魅力的ですが,メークなどで,それ以上に見せようなどはなから興味が無いようなのも小気味好く,映画ファンにとっては,めくるめく程の美しさが感じられます。
見渡す限り、整形美男美女の世界では,自然に歳を取った人々の魅力が代え難い貴重な存在となりつつあるのも悲しいかな!です。

最近の作品「CONJURING」(13)で久しぶりにリリーに会いました。コンジュアリング とは何かを集めて,不思議な形状が出てくる,と言った意味でここでは,幽霊の影響力でしょうか,リリーは霊がはびこる家を買ってしまい,夫と5人もの娘と超自然の嫌がらせに苛まれる主婦の役。
霊に憑かれてしまって,俗にいう、スクリーミング クイーンの首の血管がちぎれそうな程の叫び声をあげる役です。

「あのね,スクリーミングは口の先では出来ないのよ。それだとすぐに声が出なくなってしまうから。私は専門のスクリーミング コーチについて,お腹の底からぐーんと叫ぶテクニックを習ってね」
と目の前で,地獄から出て来るような低くて,恐ろしいうめき声とそれから次第にキンキン声になるプロセスを披露してくれました。
そう言う屈託の無い,楽しい女優なのです。

1967年2月20日イリノイ州グレンコーに金物屋を経営する夫婦のもとに,6人兄妹の5番目として生まれ,暖かくて,仲の良い家族に恵まれたそう。
近くのエヴァンストンにあるピヴェン シアターのワークショップで演劇を学び,舞台に出るようになります。

初めて会ったのは「ミステイック ピザ」(88)でジュリア ロバーツと共演した時でした。二人ともまだほかほかの新人で,あれから25年,ジュリアはスーパースターに,リリーは独立映画の女王とお互いに満足のいく道をたどってきたと思います。
「ショートカッツ」(93)ではリリー トムリンと一緒の場面で,二人の不思議なキャラクターが面白いミックスを見せていました。
低予算の独立系作品に出ながら,人気テレビシリーズ「シックス フィート アンダー」(01−)のレギュラーになって,お茶の間でも知られるようになります。
2009年に作家のニック フリンと結婚,その前の年に女の子が二人の間に生まれてます。フリン原作の「ビーイング フリン」(12)にもリリーは友情出演して,画面を引き締める効果を上げてました。
リンダ ハント 
「私は破滅型の役が好き。自分がそうではないから。ハハハ。それからクレイジーな女性を演じるのも好き。私はとてもまともで退屈な人間だから。主演よりアンサンブルの独りで,色々工夫する方が楽しい」
と軽く言いますが,どうしてどうして,リリーは独特のハスキー声で,どきっとするようなオリジナルは発言をしたり、ヒューマニテイーに溢れた活動を続けている楽しい女性です。
「これからはもっと自分の世界の人達を助けなくては。経済的に苦しんでいる新人たちの面倒を見る下宿屋みたいな家を作って、みんなに開放したいと思っているのよ」
と女親分のリーダーシップも覗かせてました。
2013   「 CONJURING」



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