IAN  MCKELLEN

「リチャード3世」(95)の大悪君主から「ロード オブ ザ リングス」(01)の賢人ガンドルフ,そして「X−メン」(00)の大悪漢マグネトと長身と貴公子的ルックスが画面に登場すると思わず膝まずいてしまいそうなオーラを放つイアン マツケラン。

1939年5月25日,英国のランカシャー生まれですから現在73歳。「ロード..」3部作はニユージーランド ロケ約2年,新シリーズの「ホビット」(12−)も3部作でニュージーランド ロケ18ヶ月と言う長い島流しにも,嬉々として参加するリーダーシップに溢れる冒険魂の持ち主です。

ご存知でしょうが,英国演劇界で初めて公式に自分はゲイであると発表したのが88年,世界中の演劇界はゲイで溢れているとは言え,役が狭まれる,ファンが離れる,ダブルライフのスリルを楽しむ,などなどの個人的理由から,わざわざカミングアウトする俳優はまだまだ少ないのです。

ルーパート エヴァレットも続いて、公式にゲイ宣言しましたが,当時の解放宣言をひる返して、今は「主役を目指していたら,隠れていたまえ」と警告しているのですから。

アメリカや西洋の街でレインボウ カラーの飾りが電柱などについている通りはゲイ フリー 地区だったご存知ですか? 私にも親しいゲイの友達が居て,そう言う情報は彼らが教えてくれるのですが,まだまだ嫌がらせや,暴力を振るう思慮のない人々がごまんと居る訳で,公共の立場の人には難しい判断でしょう。


2012 「ホビット」(THE HOBBIT:AN UNEXPECTED JOURNEY)
さてイアンは,同性愛者の権利を守るために情熱的に活動し,英国では初めてゲイとして騎士の勲章を授かったのが
1991年。
運命の皮肉は,イアンがカミングアウトしたBBCラジオ番組の司会者も騎士受賞のリストに乗っていた事。この司会者が,大変な保守主義者で,ゲイと言う言葉を使わずに,あいつらと言ったために,ゲストのイアンが怒って,「私もあいつらの仲間です!」と答えたのが始まりだったのです。

イアンに初めて会ったのは「リチャード3世」撮影中の93年でした。カンヌ映画祭で,会見があり,公開を前にお披露目があったのです。
時代を1930年代のヨーロッパの暗黒時代に移して,真っ黒な軍服姿を着て身体障害者のリチャード3世の姿は,グロテスクにして,壮絶な危機感に溢れてました。

イアン当人は,品格,知性,洗練,寛容,美しさ,の全てを漂わせて,それはチャーミングでした。
「悪役こそ役者にとって,ベストの役なのですぞ」
とウィンクしたのをはっきり覚えています。

次は「ゴッド アンド モンスター」(98)で庭師(ブレンダン フレイザー,大熱演)に無性に魅かれてしまう英国の監督,ジェイムス ホエイル(「フランケンシュタイン」(31),「フランケンシュタインの嫁」(35)などを監督した)を快演して,アカデミー賞にノミネートされた時。

薄紫のシャツに,ネックレスと言うフェミニンな服装が,ソフトな顔に映えて,とびきりエレガントでした。

「劇場が大好きな両親の励ましがあってこそ,3歳の時に「ピーター パン」の舞台に初めて出て,すっかり演劇熱に取り憑かれ、自由に演劇学校に進学する事が出来たのですよ。女優を志していた母が,私の成功を見ずにガンで亡くなってしまったのが,返す返すも残念です」

と悲痛な表情を見せてたのも印象に残っています。

ケンブリッジ大では,格調高いマーロウ ソサエテイーの会長を務めたり,24個もの舞台劇を制作,監督、主演し,天才的な俳優と言う評判も得ました。彼のアカデミックな背景も肩の力が抜けた,自信に満ちたスタンスの要素でしょう。

いつも紫色を服装の一部に使うのが,イアンのルールのようで,新作「ホビット 第1部」(12)の会見には,紫色のスラックスをはいて現れました。ズボンとかパンツ,トラウザースと言う言葉よりスラックスの響き,ニュアンスがぴったりの柔らかい着こなしなので。

「長いロケに出かけると他の舞台などの仕事に出られないから,かなりためらったのだが,2回に分けてくれてね。一度ロンドンに戻って舞台に出て,良い気晴らしになって,又新鮮な気持ちでニユージーランドに戻ったのだよ。
それに他の俳優がガンドルフを演じるのが嫌だったのも大きな原因だ。私のキャリアーの中で,仙人ガンドルフは大きな位置を占めているのだから!」
とにやりと笑ってました。

前に着ていたヴァイオレット色のシャツ姿の写真を探しますね。

それとこの写真のペンダントは,ニユージーランドの緑色の貴石で,「ロード オブ ザ リングス」以来のテイーム キャプテンの誇り高い勲章なのですって。微笑ましいでしょう。

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