EZRA     MILLER

トロント映画祭のパーテイーで赤いジャッケットに違うトーンの赤のベストを着て髪は三つ編み風ポニーテール,ひょろっと長い体をどさっとベンチに投げ出して、ひひひ とにや笑いをして、やおら私めの体に全身で寄りかかったのでした。若い人向けのガーデンパーテイーで,座っている疲れたおばさんのそばが一番安全にして居心地良しと判断したのでしょう。前の日に新作「パークス オブ ビーイング ア ウオールフラワー」(12)(壁の花でいる楽しさ)の会見でしっかり話をしたから “あの変な日本人のジャーナリストだ!”と思い出したかどうかは重要でなく,エズラ ミラーのエキセントリックな行動なり,人と違った事ばかりするエネルギーがこんな所にもはじけているのです。


この9月に19歳になったばかりのエズラは去年のテイルダ
スウィントンが母親,彼が暴力息子を演じ,その余りの生々しくも恐ろしい演技が話題になった「WE  NEED TO  TALK ABOUT KEVIN」で一躍テイーンのスターに。と言っても
ジャステイン ビーバーのように甘く可愛いタイプではなく
狂気と天才が入り交じったような油断が出来ないサスペンス
が漂うユニークな個性を持ってます。

若いファンよりも私めのような年寄り玄人が好むタイプでもあって,ハリウッドの専門家の間ではイズラの異質なルックスと才能が取沙汰され,次の作品では何を演じるのかと気をもまれているぐらい。

父親は出版社の重役,母親はモダーンダンスのプロ,生まれたのはニユーヨークのホボーケン(フランク シナトラで有名な)と言ういかにも奇才が育つような知的,芸術的環境に恵まれ,小いさい時から強度の吃音症だったのを歌を歌うと良いと言われて,父親はハイレベルのニユーヨーク メトロポリタン オペラの養成所に6歳のエズラを入れ,瞬く間にアリアを歌い,どもる事もなくなったのだそうな。

「パヴァロテイーの最後のアメリカでの舞台にも出たし、ドミンゴの「トスカ」にも出た。好きなのは情熱的な「魔笛」とか「ラ トラビアーナ」かな。」
しれっと言うエズラはもちろんオペラ歌手などと学校で言うタイプではなく しっかりロック バンドの “サンズ オブ アン イラストリアス ファザー” (成功した父の息子達)を結成してドラムと歌を手がけています。バンドの名前が変わっているのも変人願望のエズラらしいではありませんか。

「祖父が実に変わった金持ちで広大な敷地を持って そこに自分で城のような家を建て,英国風の庭,東洋風の庭,アラブ風の庭等を作ってここで遊ぶと遊園地みたいだった。高速自動車道がこの敷地を通る事になり,今は切れ切れになってしまったけれど,城跡に僕たちは住んでいたのだよ。深く生い茂った庭などが残っていて,秘密の花園みたいだった。」

こう言う想像力を募る環境もエズラの成長の肥やしだったに違いありません。

「僕の父親はユダヤ人で、母親はクリステイアンだけど僕自身はユダヤの精神を携えて行きたい。」
普通母親がユダヤ人だと子供もユダヤ人とされるのです。

「友達達と一緒に寝泊まりするスリープオーバーに何度も行って,ここでゲイの味を覚えたんだ。凄く平和で自然な状況でね。小さい時にそう言う経験をすれば 年を取ってから
鬱病になったりしないよ。
僕はゲイだけど,そう言う事にこだわらず,みんなで愛しあつて生きて行きたいよね。僕自身 無責任な所があって そのために他の人を傷つけたりしたかもしれない。分け隔てなく,広い友達のサークルで楽しく生きて行きたいな。”

「シテイー アイランド」(09)と言うアンデイー ガルシア監督主演のホームドラマでのエズラは肥満体の女の子ばかり好む変な少年と言う役がおかしくて,妙にリアルで,私めはここで彼の名前を知ったのでした。

この写真での濃いサイドバーンは何となく伸ばしているそうな。次はグスタフ フロベールの小説「ボヴァリー夫人」の映画化でレオン デユピュスの役を演じるのだそうで
これからのエズラの進路に大いに期待しましょう。
2012 [ PERKS OF BEING A WALLFLOWER}
老婆心ながら才に溺れず,ドラッグやアルコールに余り頼らない事を祈りつつ。


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