AL    PACINO

偉大な,と言う形容詞を付けられると多くの人は 偉大さが曲がって来たりします。もともと偉大でなかったタイプは
ただ尊大になったり。そうです。アル パチーノは偉大な俳優であります。でもどこか その肩書きにふんぞり返っているふしも見られ 特に最近は背が低いのをやけに髪の毛を
ふんわりとおっ立てる英語で言う “コアフド” (ドライヤーやスプレーで逆毛など立てた女性用へアースタイル)に凝って ちょっとナポレオン症候群の片鱗を見せてます。

前回のウオーケン殿のおっ立てはつんつんでスパイクド
ヘアーとも言われ もっと攻撃的にして男性的です。
偉大な監督 マイケル チミノに最後に会ったとき アメリカのお年寄りの女性のソフトでふんわり盛り上げたコアフド
ヘアーで現れ なんだか変だなと思ったら女性に変身したいと言う噂を後で聞きました。

コアフ髪前のパチーノはニユーヨークのチンピラ風で生々しい野蛮さにたぎっていて,シチリア移民の息子らしい生意気さが魅力でした。「セルピコ」(73)、「スカーフェイス」(83),もちろん「ゴッドファーザー」のマイケル
コレオーネ役,私めは「シー オブ ラブ」(89)とか
「カリートの道」(93)が好きでした。
1999 「インサイダー」

初めて会見したのは その「シー オブ ラブ」で,あのヴォリユームのある声で “ いや おはよう! みんな元気かい?” 等と言うトーンが学校の先生みたいだったのを覚えています。人が集まった所でしゃべると 本能的に舞台
に立っている気分になってしまうようでした。
役者馬鹿と言うのか アル パチーノと言う俳優を演じている感じでした。
“ 僕は劇場にいるのが一番合っていると思う。そして舞台での役は生まれ育った街の雑踏の中の人々の表情や動きを
寄せ集めて作り上げるのだよ。そう、むせ返るような街の匂いを醸し出したいのだ,それが舞台の役の醍醐味だ。映画は細切れで,おまけに編集されて 自分が思ったとうりには行かないからね。”
とブロンクスに育った彼らしい話をしてました。

1940年にイーストハーレムで生まれたアルは2歳の時に
父親が家出,母と母の両親(つまり祖父母)に育てられ,映画と舞台が大好きな母の影響で子役養成学校みたいな所に通ったのです。26歳の時にアクターズ スタジオで伝説的コーチのリー ストラスバーグに師事。

この頃 ジル クレイバーグと恋をし、以後10人以上の有名無名女優たちと恋愛関係を持ち,2009年には71歳のアルが 40歳年下 (!!)のアルゼンチンの女優と仲良くなって騒がれましたが 一度も結婚した事が無いのです。
子供は3人いますが。

最近の彼はしゃがれ声で怒鳴るタイプの役が多く,「ヴェニスの商人」(04)のシャイロック役は舞台で好評だったとは言え 映画は余り受けず 映画評論家連中はここぞとばかりに、おおげさで みえばかりきっている演技と攻撃してました。インテリに好かれないのがアルの身上なのでしょう。

“ 僕は批評家たちの意見を尊重している。もちろん僕への
評論は無視する。客観的に見れないから。しかしずっと後になって批評を読むとまあ そうかなと同意してしまうね。”
2010 「 YOU DON'T KNOW JACK」
と肩をすくめるアルなのであります。

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